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そもそも「保守」ってどういう意味?-「保守主義とは何か-反フランス革命から現代日本まで」

保守主義ってなに?

 

このストレートな疑問に答えてくれるのが宇野重規氏著の

保守主義とはなにか-反フランス革命から現代日本まで」

です。 

 

 

 

宇野重規氏は、東京大学の現教授で、政治思想史、政治学史を専攻されている方です。

 

 「保守」と聞くと皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。

高校生の頃は、私は「左翼」であり、天皇崇拝という安直なイメージを持っていました。

リベラルではなく、どちらかというと年配の方の考え方、というのが一般的だと思います(私の感覚では…)。

 

 さて、本書の目的は

「現代日本で保守主義を論じることの意義を根本的に問い直すこと」

とされています。

 

本書では、保守主義の歴史が各パートごとに時系列でまとめられており、非常にわかりやすいです。

 

保守主義の定義は?

②そもそも、保守主義は必要?

③日本における保守主義の現状は?

 

保守主義の定義とは?

 

様々はメディアで色々な使い方をされている「保守主義」。

どれが正統なのか定義し辛いですが、本書では本流に遡り、保守主義の始祖とされるエドモンド・バークの示したものが「保守主義」の本来の定義として話を進めています。

 

「単に過去に価値を見出す思考が全て保守主義と呼ばれるべきではない。」p155  

 

「変化一般に対する嫌悪や反発としての「伝統主義」とは明確に区別されなければならない。」p156

 

保守主義はあくまで自由という価値を追求するものであり、民主主義を完全に否定する反動や復古主義とは異なる。」p156

 

とされるように、保守主義とは、

1-具体的な制度や慣習を守っている。

2-そのような制度や慣習が歴史の中で培われてきたものだという自覚がある。

3-自由を維持することを大切にしている。

4-民主化を前提にしつつ、秩序ある漸進的な改革を目指す。

と述べられています。

 

②そもそも、保守主義は必要?

 

「現代の時代感覚を一言でいえば、「未来が見えない」ではなかろうか。」p205

 

と筆者が述べている通り、現代日本の未来は不透明であり、確かな自信となる碁盤が少ないと感じられます。 

 自分たちの伝統や文化にそのような碁盤がないと、精神的にも文化的にも成長し辛い状況となります。

 

「自己抑制と同時に変革への意欲を備える保守主義のダイナミズムは、羅針盤なき時代において、社会を考えていく上でのひとつの英知であり続けるだろう。」p206

 

そのような時代だからこそ、保守主義が必要となってきます。

 

③日本における保守主義の現状は?

 

日本には保守主義があるのでしょうか。

明治維新や戦争後の改革などにより、歴史が分断され、日本は保守主義の確立に難しい土壌であったといえます。

 

「戦後日本の保守主義を困難なものにしているのが、敗戦と占領という経験であることは間違いない。」p190

 

…結局のところ明確な保守主義が確立されなかった、と本書では述べられています。

 

明治憲法体制に内在する自由の論理を発展させることで民主化の要求に漸進的に応えてきたのが、日本の保守主義の真の「本流」であるともいえる。そうだとすれば、戦後憲法の定着のなかに、このような漸進的発展の延長をみることこそが、そのような「本流」を継承することになるのではなかろうか。」p190〜191

 

しかし、不可能という訳ではありません。「戦後経験」の反省をし、そこから何を学び、何を継承するかを考えることで、日本の保守主義は確立することができます。